【2025年最新版】フィリピン人材採用ガイド|失敗しないための「フィリピン送り出し選定」完全解説
【2025年最新版】フィリピン人材採用ガイド|失敗しないための「フィリピン送り出し選定」完全解説
「うちの会社でも、そろそろ海外人材の採用を考えてみようか…」
人手不足が深刻化する中、勤勉で優秀なフィリピン人材の採用を検討している経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外人材の採用は、日本の採用ルールとは異なる手続きや専門用語が多く、何から手をつけて良いか分からず不安に感じるかもしれません。
ご安心ください。この記事では、初めてフィリピン人材の採用を検討する担当者の方を対象に、採用を成功させるための最も重要なポイントを、専門用語をかみ砕きながら分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、複雑に見えるフィリピンからの採用プロセスが明確になり、自信を持って第一歩を踏み出せるようになります。
この記事の要点
- フィリピン人材採用の成否は「DMW」という政府機関の理解にかかっていること。
- 採用決定から来日までの具体的な3ステップがわかる。
- 自社に合う在留資格「育成就労」と「特定技能」の違いが明確になる。
- 悪質な業者を避け、安全に採用を進めるためのチェックリストが手に入る。
結論:フィリピン人材採用の鍵は「DMW」にあり
まず結論からお伝えします。
フィリピン人材の採用を成功させるために、絶対に理解しておかなければならないのが、フィリピン政府の「DMW(Department of Migrant Workers:移住労働者省)」という機関の存在です。
DMWとは、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)の保護と、海外就労に関するすべての手続きを一元管理する、日本の省庁にあたる最重要機関です。
2022年までは「POEA」という機関がその役割を担っていましたが、組織が再編・強化され、2023年からDMWとして本格的に始動しました。
なぜDMWがそれほど重要なのでしょうか?
それは、DMWの認可やルールに沿わなければ、フィリピン人材を一人たりとも合法的に雇用することはできないからです。逆に言えば、DMWの仕組みさえ理解すれば、採用プロセスは驚くほどスムーズに進みます。
【3ステップで解説】フィリピン人材採用の具体的な流れ
では、実際に採用を決めてから、フィリピンの方が日本で働き始めるまで、どのようなステップを踏むのでしょうか。ここでは、全体の流れを大きく3つのステップに分けて解説します。
STEP1:【最重要】信頼できる「送り出し機関」の選び方
フィリピン人材を採用する場合、企業が直接現地で候補者を探すことはできません。必ず、DMWが認定した現地の「送り出し機関」を通じて採用プロセスを進める必要があります。
送り出し機関は、候補者の募集、面接の設定、各種書類の準備、出国手続きなどを代行してくれる、採用活動のパートナーです。
最大のポイントは、契約を検討している送り出し機関が、必ずDMWの正規ライセンスを持っているかを確認すること。ライセンスのない悪質な業者と契約してしまうと、採用が失敗するだけでなく、法的なトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
【チェックリスト】信頼できる送り出し機関か確認する方法
必ずDMW公式サイトの認可リストで、事業者名やライセンス番号を検索し、認可が有効(Active)であることを確認してください。
STEP2:日本側の受け入れ準備(在留資格の申請)
送り出し機関と連携して候補者が決まったら、次は日本側での受け入れ準備です。主に、日本の出入国在留管理庁(入管)に対して、在留資格の申請を行います。
ここで登場するのが、日本側のサポート機関です。どの在留資格で受け入れるかによって、連携する機関が異なります。
在留資格の種類 | 日本側の主なサポート機関 | 役割 |
---|---|---|
育成就労(旧 技能実習) | 監理団体(協同組合など) | 育成計画の作成、入国後の講習、企業への監査・指導、生活サポートなど |
特定技能 | 登録支援機関 | 義務的な支援(生活オリエンテーション、住居確保、相談対応など)の全部または一部を企業から委託 |
監理団体や登録支援機関は、複雑な申請書類の作成や、入管とのやり取りをサポートしてくれる心強い存在です。
STEP3:フィリピン側の出国準備と必須手続き
無事に日本での在留資格が許可されたら、いよいよ最終段階です。フィリピン側で、本人が出国するための必須手続きが2つあります。
- OEC(海外就労許可証)の取得
OEC(Overseas Employment Certificate)は、DMWが発行する「この人は合法的に海外で働きます」という証明書です。フィリピンの空港でこれがないと、就労目的での出国ができません。 通常は送り出し機関が取得をサポートします。 - PDOS(出国前オリエンテーションセミナー)の受講
PDOS(Pre-Departure Orientation Seminar)は、渡航前に必ず受講が義務付けられているセミナーです。日本の法律、労働環境、文化、生活上の注意点などを学び、スムーズに日本での生活をスタートできるようにするためのものです。
これらのステップがすべて完了して、初めてフィリピン人材は日本へ渡航し、あなたの会社で働くことができるのです。
【徹底比較】自社に合うのはどっち?「育成就労」と「特定技能」
フィリピン人材を受け入れる際の代表的な在留資格が「技能実習」と「特定技能」です。
ここで重要な最新情報があります。従来の「技能実習制度」は廃止され、2027年までに新しい「育成就労制度」へ移行することが決定しました。
2025年時点では移行期間となりますが、これから採用を検討するなら、新しい「育成就労」と「特定技能」の違いを理解しておくことが不可欠です。
比較項目 | 育成就労制度(旧 技能実習) | 特定技能制度(SSW) |
---|---|---|
制度の目的 | 人材育成と技能確保 (未経験者を育てて戦力化) |
即戦力の確保 (特定分野の人手不足解消) |
対象者 | 主に未経験者 | 技能試験・日本語試験の合格者など |
在留期間 | 原則最長3年 (特定技能1号への移行が可能) |
1号: 最長5年 2号: 更新上限なし(永住の可能性も) |
転職 | 条件付きで可能 (一定の要件を満たせば同一分野内で可) |
可能 (同一分野内で可) |
家族帯同 | 不可 | 1号: 不可 2号: 可能(配偶者・子) |
育成コスト | 育成に時間とコストがかかる | 即戦力のため育成コストは比較的低い |
向いている企業 | 未経験者をじっくり育て、長期的に自社の文化に馴染んでもらいたい企業 | 即戦力をすぐにでも確保し、現場の人手不足を解消したい企業 |
【2025年最新情報:特定技能2号の対象分野が拡大!】
以前は2分野のみでしたが、現在は介護を除く特定技能1号の11分野で、特定技能2号への移行が可能になっています。これにより、多くの分野で熟練した人材が、家族と共に日本に定住し、長期的に活躍できる道が拓かれました。
安全な採用のために|フィリピン政府のセーフティネット
フィリピン政府は、自国民が海外で不当な扱いを受けないよう、手厚い保護制度を設けています。その中心が「OWWA(海外労働者福祉庁)」です。
OWWAはDMWと連携し、海外で働くフィリピン人労働者とその家族に対して、以下のような幅広いサポートを提供しています。
- 健康保険や生命保険、障害補償
- 教育や研修のための奨学金プログラム
- トラブル時のための法律相談やカウンセリング
- 緊急時(紛争や災害など)の避難・帰国支援
海外で働くフィリピン人のほとんどがこのOWWAに加盟しており、万が一の際のセーフティネットとなっています。企業側としても、こうした手厚い保護制度があることを知っておくと、より安心して採用に踏み切れるでしょう。
まとめ:正しい知識で、フィリピン人材と共に成長する未来へ
今回は、フィリピン人材の採用を検討する上で最も重要なポイントに絞って解説しました。
- 採用の成否は、フィリピン政府の「DMW」の理解から始まる。
- 「DMW認定の送り出し機関」を選ぶことが、失敗しないための第一歩。
- 「育成就労」と「特定技能」の違いを理解し、自社の目的に合った制度を選ぶ。
- OECやPDOSといった必須手続きは、採用プロセスの一部として把握しておく。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、信頼できる送り出し機関や日本の監理団体・登録支援機関とパートナーシップを組めば、何も心配することはありません。
この記事が、あなたの会社にとって素晴らしいフィリピン人材との出会いの一助となれば幸いです。