【2025年最新版】外国人材の定着率アップ!厚生年金「脱退一時金」を企業が活用する完全ガイド
【2025年最新版】外国人材の定着率アップ!厚生年金「脱退一時金」を企業が活用する完全ガイド
「採用した優秀な外国人材が、数年で帰国してしまう…」
多くの経営者や人事担当者の皆様が、このような課題に直面しているのではないでしょうか。
その人材流出を防ぎ、従業員満足度と定着率を向上させる「切り札」の一つが、厚生年金の「脱退一時金」制度です。この制度を企業が正しく理解し、従業員に適切に案内することが、信頼関係の構築に繋がり、結果として長く活躍してもらうための土台となります。
この記事では、2025年時点の最新情報に基づき、脱退一時金制度の基本から、人事担当者がやるべき具体的な手続き、税務上の注意点までを分かりやすく解説します。制度を武器に、外国人材から「選ばれる企業」を目指しましょう。
そもそも「厚生年金脱退一時金」とは?制度のキホンを3分で理解
脱退一時金とは、非常にシンプルに言うと、「日本で働いて支払った厚生年金保険料の一部が、母国へ帰る際に本人に返還される制度」です。
日本の年金は、原則として10年以上加入しないと将来受け取ることができません。しかし、多くの外国人材は10年未満で帰国するため、何もしなければ保険料が「払い損」になってしまいます。それを防ぎ、公平性を保つためにこの制度が設けられています。
企業がこの制度を正しく案内することは、単なる手続き代行ではありません。従業員の権利を守り、経済的な不安を解消する手助けをすることで、企業への信頼感を高め、ロイヤリティの向上に直結する重要な取り組みなのです。
【チェックリスト付】誰が・いつ・いくら貰える?受給要件と計算方法
では、具体的にどのような条件を満たせば、従業員は一時金を受け取れるのでしょうか。ここでは「対象者」「申請期限」「支給額」という3つのポイントに絞って解説します。
受給資格の4つの必須条件
脱退一時金を受け取るためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 1. 日本国籍でないこと | この制度は外国人向けの制度です。 |
| 2. 厚生年金の加入期間が6ヶ月以上あること | 自営業者などが加入する「国民年金」の期間は対象外です。 |
| 3. 日本に住所がないこと | 日本を出国し、住民票の転出届(除票)を提出している必要があります。 |
| 4. 年金を受け取る権利がないこと | 障害手当金など、他の年金を受給できる場合は対象外です。 |
特に重要なのが、「日本を出国した後、2年以内に請求する」という期限です。この期限を過ぎると請求権がなくなってしまうため、退職する従業員には必ず伝えるようにしましょう。
支給額はいくら?計算方法と具体例
支給額は、従業員の日本での平均給与と加入期間によって決まります。計算式は以下の通りです。
脱退一時金 = 平均標準報酬額 × 支給率
「平均標準報酬額」とは、簡単に言うと「厚生年金に加入していた期間中の、月給と賞与をならした平均額」のことです。
「支給率」は、加入期間に応じて下の表のように決まっています。
| 加入期間 | 支給率 | 加入期間 | 支給率 |
|---|---|---|---|
| 6~12ヶ月 | 0.5 | 36~42ヶ月 | 3.0 |
| 12~18ヶ月 | 1.0 | 42~48ヶ月 | 3.5 |
| 18~24ヶ月 | 1.5 | 48~54ヶ月 | 4.0 |
| 24~30ヶ月 | 2.0 | 54~60ヶ月 | 4.5 |
| 30~36ヶ月 | 2.5 | 60ヶ月 (5年) 以上 | 5.0 (上限) |
【計算例】
平均標準報酬額が30万円の従業員が3年間(36ヶ月)勤務した場合…
300,000円 × 3.0 = 900,000円
が支給額の目安となります。
(参考:日本年金機構「脱退一時金」)
人事担当者のための実践ガイド|手続きサポートと税務の注意点
制度を理解したら、次はいよいよ実務です。企業として従業員をどのようにサポートすればよいか、3つのステップで解説します。
Step1:従業員への丁寧な説明と情報提供
退職の意向が固まった従業員に対し、面談などの機会を設けて制度について説明しましょう。その際、以下の点を明確に伝えることが重要です。
- 制度の概要(支払った年金保険料の一部が戻ってくること)
- 申請は本人が行うものであること
- 出国後2年以内という申請期限があること
- 必要な書類と、企業として協力できること
日本年金機構では多言語に対応したパンフレットも用意されているため、こうした資料を活用するのも有効です。
(参考:日本年金機構「外国語のパンフレット」)
Step2:申請手続きのサポートと必要書類の確認
申請は本人が行いますが、企業側で準備や確認を手伝うことで、手続きは格段にスムーズになります。
【主な必要書類】
- 脱退一時金請求書:日本年金機構のサイトからダウンロードできます。
- パスポートのコピー:氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格がわかるページ。
- 日本に住所がないことを証明する書類:住民票の除票の写しなど。
- 「銀行名、支店名、口座番号、本人名義」が確認できる書類:銀行が発行した証明書や、口座のスタンプ証明など。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
企業としては、従業員の退職時に年金手帳を確実に本人に返し、請求書の書き方で不明な点があれば相談に乗るなど、寄り添う姿勢が大切です。
Step3:間違いやすい税務処理のポイント
脱退一時金は所得と見なされるため、税金がかかります。ここを間違えるとトラブルの原因になるため、正確に理解しておきましょう。
- 原則として20.42%が源泉徴収される
支給額から20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)を差し引いた金額が、本人の口座に振り込まれます。 - 税金の還付も可能
源泉徴収された税金は、本人が日本を出国する前に「納税管理人」を定め、確定申告(還付申告)を行うことで、一部が戻ってくる場合があります。この手続きについても案内してあげると、より親切です。 - 租税条約による例外
国によっては日本との租税条約により、この源泉徴収が免除される場合があります。ただし、適用には別途手続きが必要なため、専門家への確認が不可欠です。
知っておきたい!再雇用と「社会保障協定」のケース
Q1. 脱退一時金を受け取った従業員を、数年後に再雇用しました。年金の扱いはどうなりますか?
A1. 脱退一時金を受け取ると、その計算の基礎となった年金加入期間はすべてリセット(ゼロに)されます。そのため、再雇用後に再び厚生年金に加入した場合は、そこから新たに加入期間がスタートします。過去の期間と通算はできないため、この点は再雇用する際に本人に説明が必要です。
Q2. 「社会保障協定」を結んでいる国の出身者の場合は、どうすれば良いですか?
A2. 日本はいくつかの国と「社会保障協定」を結んでいます。この協定を結んでいる国の出身者は、日本の年金加入期間を母国の年金制度の加入期間と通算できる場合があります。この場合、脱退一時金を受け取らずに、将来、日本か母国で年金として受給する方が有利なケースもあります。
一時金を受け取ると期間の通算ができなくなるため、協定対象国の従業員には、どちらの選択肢が良いか、本人の将来設計を踏まえて慎重に検討するよう促すことが重要です。
(参考:日本年金機構「社会保障協定」)
まとめ:適切な制度活用で、外国人材から選ばれる企業へ
厚生年金脱退一時金制度は、手続きが少し複雑に感じるかもしれません。しかし、企業がこの制度を正しく理解し、退職する従業員を親身にサポートする姿勢は、必ず他の従業員にも伝わります。
「この会社は、私たちのことを最後までしっかり考えてくれる」
そうした信頼感が、現役従業員のエンゲージメントを高め、離職率の低下、ひいては企業の持続的な成長へと繋がっていくのです。
本記事を参考に、社内のサポート体制をぜひ一度見直してみてください。もし手続きに不安があれば、社会保険労務士や税理士といった専門家への相談も有効です。適切な制度活用で、外国人材が安心して長く働ける職場環境を築いていきましょう。
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